産休・育休期間中の社会保険料給与引き落し停止手続き

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■このページでは、産休・育休期間中の社会保険料を免除する際に必要となる、給与引き落し停止手続きについて解説しています。

当事務所では、「産休・育休手続ナビゲーション+申請手続代行サービス」を行っております。

NAVIメールを読み進め、対応するだけで、最新の産休・育休制度内容把握から事務手続まで、一筆書きで完了させることができる画期的なサービス内容となっております。

あわせて「育休取得時の助成金申請代行サービス」も行っております。

完全オンライン対応で、就業規則等改定~助成金申請代行まで個別にサポート致します

  • 産休・育休取得実績が乏しい中小零細企業のご担当者様
  • ご多忙につき、「情報収集の時間確保」が難しいご担当者様

に、おすすめのサービス内容となっております。

全国47都道府県対応

当サービスをご利用いただくと、以下①~⑥の全てを、一筆書きで完了させることができます。

  1. 産休・育休申出者への相談対応に必要となる最新の制度情報収集
  2. 休業申出書・育休取扱通知書等、各種必要書面の準備
  3. 切迫早産・切迫流産等発生時の傷病手当金(*)、帝王切開時の高額療養費限度額適用認定(*)申請
  4. 出産手当金(*)・育休給付金・社会保険料免除等、産休・育休に必要な全ての申請(手続代行)
  5. 社会保険料引き落しの停止や地方税徴収方法変更等、給与支払事務の変更手続
  6. 職場復帰後の「休業終了時 社会保険料特例改定」・「厚生年金保険料 養育期間特例適用」申請(手続代行)

(*)全国健康保険協会への申請書類は書面作成のみサポート致します。

CLASSY. 2024年2月号(12/27発行) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました

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保険料の給与引き落し処理基準確認

社会保険料の給与引き落し処理は、会社によって当月扱い処理の場合と翌月扱い処理の場合が混在します。

まず、自社がいずれの処理基準に該当するか確認する必要があります。

当月扱い処理の会社

例えば、3月分の社会保険料を3月に支給日が到来する給与から引き落としている会社は当月扱い処理の会社となります。

新入社員が入社した際、入社した月の社会保険料を入社月に支給日が到来する給与から引き落とし開始している会社等が該当します。

(給与締切日と給与支払日が同一月内にある会社等で見受けられます)

翌月扱い処理の会社

例えば、3月分の社会保険料を4月に支給日が到来する給与から引き落としている会社が翌月扱い処理の会社となります。

新入社員が入社した際、入社した月の社会保険料を入社翌月に支給日が到来する給与から引き落とし開始している会社等が該当します。

(こちらが一般的であり、ほとんどの会社が該当します)

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社会保険料免除開始月の確認

以下の例のように免除開始となる月を判断します。

  • 6月25日が給与支給日
  • 6月20日が夏季賞与支給日
  • 6月30日が産休(育休)開始日 の場合・・・

社会保険料が免除となるのは、休業を開始した月からとなりますので6月分の社会保険料から免除となります。
(本人負担分・会社負担分ともに免除となります)

よって、6月20日に支給する賞与には社会保険料がかかりません。
(休業開始日より前の日付で支払われたとしても免除の対象となります)

ただし、令和4年10月以降、育休期間中の賞与支払いに対する社会保険料免除については、1カ月を超えて育休を取得した者にのみ認められるよう法改正されます。

産休・育休予定者がいる場合に賞与の計算を行う際はあらかじめ、支給月と休業開始予定月が重なっていないか確認して下さい。

上記の賞与から社会保険料を誤って引き落してしまった場合は、引き落した金額を本人に返金するか、次回到来の社会保険料引き落し時に精算する必要があります。

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給与からの社会保険料引き落し停止を開始するタイミング

保険料引き落し当月扱い処理の会社の場合

6月25日給与引き落し分の社会保険料から免除扱いとし停止します。

保険料引き落し翌月扱い処理の会社の場合

7月25日給与引き落し分の社会保険料から免除扱いとし停止します。

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社会保険料免除期間中の所得税・雇用保険料引き落しについて

産休・育休期間中に給与や賞与の支払いが発生し、社会保険料が免除となる場合であっても、所得税と雇用保険料は免除にはならず、徴収が必要です。

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予定日よりも早く出産した場合に起こりうるイレギュラー対応について

予定日よりも早く出産した場合、実際の出産日から数えて42日前までの間に「妊娠・出産のため労務に服さなかった日」があるときは、それらの日が当初産休開始日以前の日であったとしても産前休業期間に含めることとされています。

このため、当初、出産予定日から数えて42日前を産休開始日に指定したケースで、その直前に妊娠・出産のため労務に服さなかった会社休日・有給休暇・欠勤日がある場合は、予定日前に出産すると産休開始日が前月に繰り上がることがあります。

これにともない保険料免除開始月も前月に繰り上がることがありますので注意が必要です。

健康保険法における産前産後休業の考え方

出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日の間に、妊娠または出産を理由として労務に従事しない期間を産前産後休業期間とします。

つまり出産予定日ではなく、実際の出産日を基準として産前産後休業期間が、後から決定される仕組みになっています。

ちなみに、この考え方は出産手当金の支給対象日を決定する際も、同様に適用されます。

なお、産休中に支給される出産手当金の金額よりも、年次有給休暇取得による給与収入のほうが大きい等の理由で、妊婦本人の希望により産前休業ではなく年次有給休暇を優先的に取得させた場合であっても、妊娠・出産を理由とする休暇取得であれば産前休業期間となるため、当該年次有給休暇の取得期間も含めて社会保険料(本人分・会社分)の免除対象月を判定することができます。

具体例

  • 前倒し休業(有休):5月29日、30日、31日
  • 産休開始日    :6月1日(出産予定日から数えて42日前)
  • 出産予定日    :7月12日

であった場合・・・

産休開始月である6月分の社会保険料から引き落しを停止します。

ただし、出産予定日の7月12日よりも2日早く、7月10日に出産した場合は、産休前の有給休暇日である、5月30日・31日についても、2日繰り上がって産前休業を取得したこととなります。

結果、産休開始日も5月30日に繰り上がることとなり、5月分の社会保険料についても免除されることとなります。

実務上このようなケースでは、社会保険料の引き落し基準が当月扱いの会社で、5月分の社会保険料を引き落し済の場合は、本人へ返金手続きを行うか、次回社会保険料の徴収時に精算するか、いずれかの方法で対応します。

なお、5月に賞与が支払われている場合は、社会保険料の引き落し基準に関わらず、必ず返金、もしくは後日精算が必要となります。

ちなみに上記のケースで5月30日・31日が通常出勤であった場合、出勤日は出産日以前42日に含まれても、「労務に従事しない期間」には該当しないため、産休開始日が6月1日から繰り上がることはありません。

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