【出産時の給付金】出産育児一時金とは?金額・支給条件・申請方法など詳しく解説!

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この記事では、出産時に支給される、出産育児一時金の詳細について、初心者でもインプットしやすいよう、わかりやすく解説しています。

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はじめに

出産費用は、帝王切開等、医療行為を必要とする分娩を除いて、医療保険が適用されません。

そのため、当該費用を補助するものとして、出産育児一時金の制度が定められています。

出産育児一時金というと、育児費用補助の役割も踏まえた制度名となっていますが、現実的には「出産一時金」と呼ぶべき給付内容になっています。

この記事では、出産育児一時金について、手続き初心者の方でもインプットしやすいよう、できるだけ分かりやすく解説していきます。

なお、ここでは、船員保険に加入している方、および共済組合等に加入する公務員の方は除いて解説していきますのでご了承下さい。

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支給対象者

それでは、まずは支給対象者について見ていきましょう。

出産育児一時金については・・・

勤務先を通じて加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)又は健康保険組合

勤務先を通さず加入する国民健康保険もしくは国民健康保険組合

いずれからも、ほぼ同内容の給付が行われることとなっています。

勤務先を通じて加入する健康保険の扶養家族(被扶養者)となっている方が出産した場合については、加入者の方本人(被保険者に対して家族出産育児一時金が支給されます。

なお、国民健康保険および国民健康保険組合については、被扶養者の概念が無いため、このような制度はありません。

出産育児一時金については、ほぼ全ての方が支給対象になると押さえておきましょう。

ちなみに、ごく一部ですが例外となるケースが無くもありません。

こちらも念のため、簡単に解説しておきます。

例外として出産育児一時金の支給対象外となるケース


どのような方が支給対象外となるか?というと・・・

どの健康保険にも加入していない人

がその回答となります。

それでは・・・

どの健康保険にも加入していない人には、どのような方が該当するでしょうか?

まず、最初に考えられるのが・・・

生活保護法の適用を受けており、且つ、勤務先を通じて健康保険に加入していない世帯の方

です。

生活保護法の適用を受けている世帯の方は、国民健康保険の加入対象から外れますので、上記の場合は、どの健康保険にも未加入の状況となります。

なお、上記世帯の方が出産した場合には、出産扶助等の補助が別途行われることになっているため、出産育児一時金の支給は行われません。

次に考えられるのが・・・

在留資格が3カ月に満たない、あるいは3カ月以上となる見込みがない外国人の方で、勤務先を通じて健康保険に加入していない世帯の方

です。

上記の場合、在留資格要件を満たさず、国民健康保険に加入できませんので、どの健康保険にも未加入の状況となります。

なお、この場合は、出産育児一時金を受給することはできません。

あと、強いて言うならば・・・

何らかの理由で、どの健康保険にも加入しておらず無保険状態になっている世帯の方

も挙げられます。

この場合も出産育児一時金の支給対象にはなりません。

支給要件


次に、支給要件についてみていきましょう。

出産育児一時金の支給対象となる出産は、以下の要件を満たすものとなります。

  • 妊娠4カ月(85日)以上の生産
  • 妊娠4カ月(85日)以上の流産(人工妊娠中絶も含む)
  • 妊娠4カ月(85日)以上の死産

つまり、出産は4カ月以上であれば、生産・流産・死産の別を問わないということになります。

1カ月は28日で計算し、×3カ月=84日を超えるものを「妊娠4か月以上」

とします。

なお、勤務先を通じて加入する健康保険も、世帯ごとに自分で加入する国民健康保険も支給要件については、ほぼ同一となっています。

ただし、4カ月以上であっても、経済的理由による人工妊娠中絶の場合は、加入する健康保険によって、要件が異なる場合があるようですので、注意しておきましょう。

経済的理由による人工妊娠中絶の取扱い


全国健康保険協会(協会けんぽ)については、経済的理由によるものであっても、4カ月以上の人工妊娠中絶であれば・・・

出産育児一時金の対象とすることを認めています。

ただし、健康保険組合(企業・業界組合単位)、国民健康保険(市区町村単位)あるいは国民健康保険組合(同業者組合単位等)については・・・

上記を認めている場合と認めていない場合があります。

加入先の健保が協会けんぽ以外の場合は、事前に確認しておくことが必要です。

支給金額


さて、続いては支給金額について見ていきましょう。

出産育児一時金は・・・

妊娠4ヵ月(85日)以上の方が出産した場合に

1児あたり50万円

が支給されます。

ただし、産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は、最高支給額が48.8万円に減額されます。

この支給額の大小に影響を与える産科医療補償制度・・・

一体どのような制度なのでしょうか?

あまり脱線し過ぎない程度に解説します。

産科医療補償制度とは?


まずは、制度内容と運営先について一言で解説しますと・・・

出生児が重度の脳性まひとなった場合、その経済的負担を和らげるために補償が行われる制度

で、

公益財団法人 日本医療機能評価機構 が運営元

となっています。

ちなみに、出生児が満5歳の誕生日を迎えるまで補償の申請をすることができます。

続いて、補償内容と掛け金についてです。

申請の結果、補償対象と認定された場合は・・・

看護・介護のための準備一時金600万円

補償分割金2,400万円(120万円 /年 ×20年間)

の、合計3,000万円が補償金として支払われます。

掛け金は、この制度に加入する医療機関、もしくは助産所が負担することになっており・・・

1分娩あたり12,000円(令和4年1月改定)

となっています。

最後に、制度の加入有無で出産育児一時金の支給額が変わる理由についてです。

すでに、お気づきかと思いますが、この掛け金は、出産費用に上乗せ請求されることが考えられるため、出産育児一時金の支給額にも上乗せされています。

対して、この制度に加入していない医療機関、もしくは助産所で出産する場合は、補償を受けることはできません。

よって、当然掛け金も発生しませんから、その相当額が出産育児一時金に上乗せされず支給されることになっているというわけです。

それでは、また支給額の話に戻します。

多胎出産の場合


では次に、双子以上の出産である多胎出産の場合、出産育児一時金の支給額はどうなるでしょうか?

多胎出産の場合は・・・

産児の数だけ、支給額が倍増されます。

つまり、双子の出産であれば、50万円×2=100万円(*)が支給されるということになります。

(*)産科医療補償制度対象外出産の場合は48.8万円×2=97.6万円

出産費用が一時金を下回った場合は差額申請できる


今度は、かかった出産費用が、出産育児一時金を下回った場合についてです。

現在、出産費用の全国平均額は50万円程度となっています。

しかしながら、出産費用については地域差等が大きく、一時金の金額以下となる場合もあります。

この場合、一時金を下回った差額分についても受給することが可能です。

ただし、差額を受給するためには所定の申請が必要となります。

具体的な申請方法については、後ほど解説します。

健保組合・国保組合加入の場合は、付加給付を受けられることがあ


ここまで、出産育児一時金は出産1児あたり50万円を上限に支給されると説明してきました。


ただし、この支給額、加入先の健康保険が・・・

勤務先を通じて加入する健康保険組合(いわゆる組合健保)

個人で加入する国民健康保険組合(同業者の国保組合等)

の場合は、各組合が独自に付加給付(増額支給)を行っている場合があります。

上記の組合に加入している場合は、加入先の組合に付加給付の有無を、事前確認しておきましょう。

ちなみに、個人で加入する国保組合であっても、医師の国保組合等は、かなり大きな金額の付加給付を行っていることがあります。

なお・・・

勤務先を通じて加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)

では、付加給付は行われていません。

各市区町村単位で加入する国民健康保険(市町村国保)についても、断言はできませんが、基本的に付加給付は行われていないようです。

国民健康保険料を滞納している場合


次は、国民健康保険料を滞納している場合、出産育児一時金の支給額がどうなるか?について見ていきます。

まず、前提として、勤務先を通じて健康保険に加入している方については、勤務先に保険料の徴収と納付の義務がありますので、加入者本人に滞納の問題は発生しません。

よって、ここで解説の対象となるのは、国民健康保険もしくは国民健康保険組合の加入者のみとなります。

さて、国民健康保険料(国民健康保険税)を滞納している方が出産した場合も出産育児一時金を受給できるか?についてですが・・・

答えは、「受給できる」です。

ただし、国民健康保険法、第63条2では・・・

1年6か月を超える滞納者への保険給付については、災害等の特別な事情がある場合を除いて、厚生労働省令に基づき、その全部または一部支払いを一時差し止めする

ことが定められています。

出産育児一時金の支給が差し止められるか否かについて断言はできませんが、仮に差し止められてしまうと、当面の出産費用を賄えなくなってしまいます。

各市区町村や加入先の国保組合では、出産費貸付制度を設けていますが、この制度は出産育児一時金の支給額を担保とした制度となっていますので、保険料を滞納している方はこちらも利用できないと考えておいたほうがよいでしょう。

国民健康保険料(国民健康保険税)に滞納がある方は、滞納期間が1年6か月を超えているか否かに関わらず、必ず加入先国保の市区町村窓口へ事前相談しておきましょう。

出産費貸付制度とは?


さて、先ほど少し触れた、出産費貸付制度について簡単に解説しておきます。

出産費貸付制度とは、出産費用に充てるため・・・

出産育児一時金(家族出産育児一時金)支給までの間、その8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度

です。

返済は、出産育児一時金の支給額から差し引きすることにより行われます。


この制度の利用対象者は・・・

出産予定日まで1ヵ月以内の方

または・・・

妊娠4ヵ月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方

となります。

上記は、全国健康保険協会(協会けんぽ)が定める制度内容についての解説ですが、他の健康保険組合(組合健保)、国民健康保険(各市区町村)、国保組合(同業者組合等)でもほぼ同じ内容の制度を運営しています。

なお、この貸付を利用する方は、後述する出産育児一時金の「直接支払い制度」や「受取代理制度」を利用することはできません。

一時金はいつ支払われる?直接支払い制度とは?


では、最後に肝心な支給時期について見ていきましょう。

と、言ってはみたものの、実はこの出産育児一時金・・・

大多数の方は支給されるのを待つ必要はありません。

一体どういうことなのでしょうか?

その答えは・・・

医療機関等が実施している直接支払い制度

にあります。

出産先の医療機関や助産所が直接支払制度を実施している場合・・・

健康保険への一時金請求手続きは、その医療機関等が代行してくれます。

そして・・・

一時金は健康保険から医療機関等へ直接支払われることとなります。

よって「直接支払い制度」の名前が付いているわけです。

上記の結果、出産する本人は、出産育児一時金の上限額を超えた分の費用のみを医療機関等へ支払えば済むこととなります。

ただし、出産費用が出産育児一時金を下回った場合、差額を受給するためには申請が必要となります。

なお、この制度は大多数の医療機関等で実施されており・・・

協会けんぽ・健保組合・国民健保・国保組合いずれの加入者も対象となっています。

ただし、先ほども少し触れましたが、

出産費貸付制度を利用する方については、出産先の医療機関等が直接支払い制度を実施していたとしても、利用することはできません

のでご注意下さい。

その理由は、出産費貸付制度は、出産育児一時金の支給額からその利用額を差し引いて返済する仕組みになっているからです。

直接支払い制度を実施していない医療機関・助産所もある


ちなみに、この直接支払い制度、出産する本人にとっては非常に有難い制度なのですが、医療機関にとっては、本人に代わって健康保険へ支給申請を行うための事務負担が発生することとなります。

そのため、一部の小規模医療機関や助産所では実施していない場合があります。

ただし、直接支払い制度を実施していない医療機関等でも、「受取代理制度」の利用をすることができれば、出産育児一時金の上限額まで自己負担なしで出産することができます。

受取代理制度とは


受取代理制度とは・・・

加入先の健康保険へ申請することにより、出産育児一時金の医療機関等による代理受取を可能とする制度

です。

この制度を利用すると・・・

直接支払い制度と同等の費用負担軽減を図ること

ができます。

なお、直接支払い制度との大きな違いは以下の2点となります。

  1. 出産費用が出産育児一時金を下回った場合も、差額受給の申請が不要であること
  2. 健康保険への申請手続きは、自分自身で行わなければならないこと

(申請方法については後ほど解説します)

また、受取代理制度を利用するにあたっては、以下の3点に注意しておく必要があります。

まず、1つ目の注意点は・・・

受取代理制度を利用できる医療機関等は、厚生労働省へ届出を行った一部の医療機関等に限られる

ため、必ず利用できるとは限らないことです。

出産候補先の医療機関や助産所が、直接支払い制度を実施していない場合は、まず受取代理制度を利用可能かどうか確認しておきましょう。

受取代理制度を利用できない場合は、本人が出産費用を全額自己負担し、後日、健康保険へ直接請求しなければならないこととなります。

ただし、加入先の市町村国保等で受領委任払い制度を利用できる場合は除きます。(詳しくは後ほど解説します)

次に、2つ目の注意点は・・・

受取代理制度を申請できるのは、出産予定日まで2カ月以内の方に限られる

ことです。


妊娠中に胎児や母体の状態が芳しくなかったりすると、本人が希望しなくても転院しなければならない場合があります。

転院した場合は手続きの取消しが必要となりますので、できるだけ事務負担が発生しないよう、申請できる方は2か月以内の方に限定されています。

そして最後に3番目の注意点は・・・

出産費貸付制度を利用する人は、受取代理制度を利用できない

ことです。

理由は、直接支払い制度が使えない理由と同じで、出産育児一時金から貸付返済が行われる仕組みとなっていることにあります。

市町村国保等では受領委任払い制度を利用できる場合がある


先ほども軽く触れましたが、直接支払制度も受取代理制度も利用できない医療機関等で出産する場合であっても、

加入している健保が国民健康保険(市町村国保等)である場合は、受領委任払い制度を利用できることがあります。


この制度は、出産する方が市町村国保等へ申請することにより・・・

出産育児一時金の受領を医療機関等に委任することができる制度

です。

こちらを利用すれば、直接支払い制度や受取代理制度と同じように、

退院時の支払いを出産育児一時金と出産費用の差額分だけにすることができます。

加入先の健康保険が市町村国保等の方は、この制度が利用できるかどうか、ぜひ確認しておきましょう。

なお、この制度も出産費貸付制度を利用する人は利用できません。

健康保険へ直接請求した場合の入金タイミング


直接支払い制度も受取代理制度も利用せず出産する場合は、一部の場合を除き、本人が出産費用を全額自己負担し、後日、健康保険へ直接請求しなければなりません。

この場合、支給申請を行った後、

一時金が指定した銀行口座へ入金されるまでには1~2カ月程度かかる

ものとみておきましょう。

急ぎの場合は、直接、申請先へ事前確認しておくことをおすすめします。

所得税・社会保険料はかからない


出産育児一時金は所得としてみなされず、社会保険料(労働保険料を含む)も一切かかりません。

念のため押さえておきましょう。

出産育児一時金の支給申請手続き


さて、ここからは、出産育児一時金の支給申請手続きについて、簡単に解説していきます。

なお、ここでは全国健康保険協会(協会けんぽ)の手続きについて解説していきます。

  • 健康保険組合(組合けんぽ)
  • 国民健康保険(市町村国保)
  • 国民健康保険組合(国保組合)

の手続きについては、各健保のホームページもしくは窓口へ直接確認していただきますようお願いします。

直接支払い制度利用の場合


それではまず、直接支払い制度を利用する場合の手続き方法について解説します。

この場合は、出産先の医療機関等が申請手続きを代行してくれますので、原則、手続きは発生しません。

本人と医療機関等との間で代理契約合意文書を取り交わすのみとなります。

ただし・・・

出産費用が出産育児一時金の上限額を下回った場合については、別途、差額支給の申請が必要となります。

ちなみに、受取代理制度を利用した場合は、何もしなくても差額支払いを受けられますので、差額支給を申請する必要はありません。

差額支給の申請方法


出産3カ月後を目途に、全国健康保険協会から出産した本人宛に・・・

「差額申請のご案内」と、申請内容があらかじめ印字された「出産育児一時金差額申請書」

が送付されます。

上記の「差額申請のご案内」にしたがい、所定箇所へ記入・署名を行えば、医師の証明受入れや、添付書類の準備を要さず、簡単に申請を行うことができます。

なお、「差額申請のご案内」が届く前に申請したい場合は・・・

勤務先の会社を管轄する全国健康保険協会支部あてに「出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」を提出

します。

申請書の所定欄へ記入・署名をおこない、出産証明欄へ、医師・助産師もしくは市区町村の証明を受入したうえで、以下の書類を添付して申請します。

<添付書類>

  • 出産医療機関交付の出産費用の領収・明細書コピー
  • 出産医療機関交付の直接支払制度に係る代理契約に関する文書コピー

以上が、差額支給の申請方法となります。

なお、この申請は、出産日翌日から2年以内であれば行うことができます。

受取代理制度利用の場合


医療機関が直接支払制度を実施していない場合の手続方法は、受取代理制度を利用するか否かにより大別されます。

医療機関が直接支払制度を実施していない場合は・・・

まず、医療機関へ受取代理制度の利用可否を確認し

利用可であれば健康保険に対し受取代理制度利用の申請手続きを行う

こととなります。


なお、出産先の医療機関等で受取代理制度を利用できる場合は、以下の手順にしたがい手続を行います。

医療機関等への制度利用申し入れ


まず、出産する本人が受取代理制度の利用を申し入れした後、利用可能であれば・・・

医療機関から受取代理制度利用欄に署名済の、出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)の発行を受けます。

あらかじめ、全国健康保険協会のホームページから申請書式を印刷し、医療機関への利用申し入れを行うとスムーズに手続きが進みます。

②出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)の提出

発行された申請書の本人記載箇所へ、記入・署名のうえ、勤務先の会社を管轄する全国健康保険協会支部宛てに提出します。(郵送でも提出可)

なお、この申請は、出産予定日前2カ月以内になってからでないと、受理されません。

以上で、受取代理制度を利用する場合の申請手続きは終了です。

受取代理制度を利用しない場合の申請手続き


医療機関で受取代理制度を利用できない場合は、本人がいったん、出産費用全額を支払い、後日、以下の手順にしたがって、健康保険へ一時金の支給を申請します。

①出産証明の受入


まずは、

出産育児一時金支給申請書の出産証明欄に、医師・助産師または市区町村長の証明を受けます。

証明が受けられない場合は、下記いずれかの書類を提出し、証明とします。

  • 戸籍謄本あるいは戸籍抄本
  • 出生届受理証明書
  • 戸籍記載事項証明書
  • 母子健康手帳
  • 登録原票記載事項証明書
  • 住民票

②出産育児一時金支給申請書および添付書類の提出


出産育児一時金支給申請書の本人記載箇所へ記入・署名のうえ、以下の書面を添付し、会社を管轄する全国健康保険協会支部へ提出します。(郵送でも提出可)

出産費用の領収書・明細書の写し

産科医療補償制度の対象分娩であれば42万円〔令和5年4月1日以降:50万円〕(*)の出産育児一時金が支払われます。
(*)産科医療補償制度対象外分娩の場合は40.8万円〔令和5年4月1日以降:48.8万円〕

上記の対象分娩であるか否かの確認は、医療機関等がその旨を証して発行した領収書・明細書を確認することにより行われます。

また、直接支払制度を実施していない場合には、その旨についても、領収書・明細書に記載されることが多くなっています。

直接支払制度を実施していないことを証明する書類のコピー

領収・明細書上で直接支払制度を実施していない旨を確認できない場合は、医療機関等が発行した、実施が無いことを証明する書面の提出が必要となります。

海外出産の場合

海外で出産した場合であっても、帰国後に出産育児一時金を申請することが可能です。

この場合・・・

出産した医療機関等や出産した国の公的機関が発行する出生の証明書(原本)と、その和訳が必要です。

また、流産・死産の場合は・・・

妊娠期間が4カ月以上(85日以上)であったことの証明とその和訳が必要です。


他にも、現地の公的機関が発行する戸籍謄本(抄本)等、出生の事実が確認できる書類の提出を求められる場合があります。

必要な書類について、申請先の窓口へ事前確認しておきましょう。

以上が、いったん出産費用の全額を支払った場合の出産育児一時金支給申請手続となります。

なお、上記の場合、出産日の翌日から2年以内であれば、支給申請を行うことができます。

支給申請後、銀行口座入金までは1~2カ月程度みておきましょう。

産前期間中に退職した場合について


勤務先を通じて加入していた健康保険の場合、退職日の翌日から6ヵ月以内に出産した場合は、被保険者資格を喪失していても、出産育児一時金の支給を受けることができます。

ただし・・・

退職日までの被保険者期間が連続して1年以上ある場合に限ります。

1日でも被保険者期間が途切れている場合は支給対象になりません

この場合は、退職後に加入した健康保険から支給を受けることとなります。

それでは、退職後に夫の扶養家族(被扶養者)として健康保険に再加入した場合はどうなるでしょう?

この場合は・・・

本人が喪失した被保険者資格に基づき支給される出産育児一時金か、

夫の被扶養者として再加入した資格に基づき支給される家族出産育児一時金

のどちらかを選択して受給手続きを行うこととなります。

この場合、付加給付の受けられる健康保険があれば、そちらを利用したほうがよいでしょう。

ちなみに、家族出産育児一時金の場合は・・・

退職日の翌日から6か月以内に、退職した本人の被扶養者であった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません

退職日の翌日から6か月以内の出産が支給対象となるのは、あくまでも、出産する本人が退職し、健康保険の被保険者資格を喪失した場合ですので、混同しないよう注意して下さい。

出産育児一時金を上回る出産費用の医療費控除〔ご参考〕

それでは最後に、出産費用の医療費控除について、参考までに解説しておきます。

出産に要した費用は医療費ではありませんが・・・

公的な補助を受けられる範囲を上回る部分の出産費用については、

他の医療費と合算して所得税の医療費控除(地方税も控除されます)を申告することができます。

つまり、出産育児一時金の支給額を上回った部分の出産費用については、医療費控除の対象になり得るということです。

年間の医療費と合算し、10万円(総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5%)を超える場合

は、確定申告を行うことで支払った税金の控除を受けられますので・・・

妊婦検診時や出産時の領収書・明細書は大切に保管しておきましょう。

なお、詳細は税理士先生又は所轄の税務署へご確認いただきたくお願い致します。

まとめ

今回は、 出産時に支給される、出産育児一時金の詳細について解説してきました。

意外にも、内容が盛り沢山であることに驚かれたのではないでしょうか?

手続きを進める際には、必要な箇所のみ再読し、ぜひ活用していただければと思います。

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