育児休業制度とは?

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■このページでは「育児休業制度」の概要について分かりやすく解説しています。

なお、令和4年10月1日より制度運用がスタートした「出生時育児休業(産後パパ育休)」および「出生時育児休業給付金」制度の内容については、以下のブログをご参照下さい。

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育児休業制度の枠組み

【出産・育児にかかわる休業制度は以下の2つに大別されます】

  • 産前産後休業(労働基準法上の制度)
  • 育児休業・出生時育児休業〔別名:産後パパ育休〕(育児介護休業法上の制度)

【給付に関する制度は以下の法律に基づき定められています】

  • 出産育児一時金〔出産費用の給付〕・出産手当金〔産休中の収入減を補助〕(健康保険法上の制度)
  • 育児休業給付金・出生時育児休業給付金〔育休中の収入減を補助〕(雇用保険法上の制度)

【注意点】

休業そのものを定める制度と、給付を司る制度は、別々の法律に準拠しています。
このため、休業の取得は可能であっても、給付金は受けられないといったケースも起こり得ますので注意が必要です。

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育児休業の対象期間

【出産した方本人が休業する場合】

「産後休業終了日(出産日翌日から起算して56日目)の翌日」から「生まれた子の1歳誕生日前日」までの間で2回に分割して取得することができます。

【出産した方の配偶者等が休業する場合】

夫や養親等が取得する場合については、「出産(予定)日当日」から「生まれた子の1歳誕生日前日」までの間で2回に分割して取得することができます。(実際の出産日が遅れても、当初出産予定日から取得することが可能です)

【出産した方の配偶者等が、出産後8週間以内に休業する場合(出生時育児休業〔産後パパ育休〕)】

夫や養親等が、子の出生後8週間以内に育児休業を取得する場合(*)は、「通常の育児休業」とは別枠の制度として、合計4週間(28日間)を上限に2回に分割して「出生時育児休業(産後パパ育休)」を取得することができます。(子が養子の場合は女性労働者も取得することができます)

(*)出生時育児休業としてではなく、通常の育児休業として取得することも可能です。

この別枠の休業制度を利用すると、子の出産直後の8週間以内に「出生時育休として2回」、それ以降、子が1歳となるまでの間に「通常の育休として2回」の合計4回に分割して休業できることとなり、仕事と子育てが両立しやすくなるメリットがあります。

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パパママ育休プラス制度

【制度の趣旨】

生まれた子が1歳に到達して育児休業が終了する際、休業明けにスムーズな職場復帰ができるよう、もう一方の配偶者に対して「1歳2か月」まで育児休業を取得できるよう認める制度です。

【制度利用時の注意点】

まず、この制度を利用する場合であっても、夫婦ともに「取得できる育休期間は最長1年間まで」とされている点に注意が必要です。

そして、妻の育休期間の上限である1年間には「産後休業期間を通算しなければならない」点にも注意して下さい。
(夫の育休期間には妻の産後休業期間を含める必要はありません)

例えば、妻が職場復帰するタイミングで「夫が1歳2か月まで育休を取得する」とした場合、「夫が1年間フルに育休を取得したい」のであれば、子の誕生後2カ月が経過してから育休を開始し、子が1歳2か月となる日に職場復帰するスケジュールとしなければなりません。

上記は、一般的なケースの説明であり、産休終了時点で妻がいったん職場復帰し、夫が育休取得を開始して育児を交代するようなケースでは、夫がスムーズに職場復帰できるよう、妻がこの制度を利用して子が1歳2カ月となるまでの間、育休を取得することもできます。

また、上記に加えて、この制度を利用するためには、以下の条件も満たす必要がありますのでご注意ください。

  • 「パパママ育休プラスによる育休開始予定日」は、子の「1歳誕生日以前」でなければならないこと(「1歳誕生日」を含めます)
  • 「パパママ育休プラスによる育休開始予定日」以前に、もう一方の配偶者が既に育休を取得中でなければならず、かつ、その育休開始日が「子の1歳誕生日の前日以前」でなければならないこと(「1歳誕生日」は含めません)

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育休開始予定日の繰り上げ

育休開始予定日の繰上げは1回に限り認められています。

ただし、この規定は以下の事由による場合にのみ認められるものであり、休業希望者が自由に繰り上げ申出できる趣旨のものではありません。

また、繰上げ変更は、前倒して開始しようとする日の1週間前までに申出しなければなりません。

1週間前までに申出しなかった場合、事業主は申出のあった日から1週間後までの間で、繰上げ変更後の育休開始日を指定することができます。

繰り上げが認められるための事由

  • 出産日が予定日よりも早まった場合
  • 子を養育予定であった配偶者が疾病・負傷・死亡等で養育不可となり急遽子の養育が必要となった場合

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育休終了予定日の繰り下げ(育休期間延長)

育休終了予定日は、1回に限り延長(繰り下げ)することができます。

ただし、養育する対象児の1歳誕生日前日までの期間内に限ります。
(パパママ育休プラスを利用する場合は1歳2か月となる日の前日まで)

この場合、当初育休終了予定日の1カ月前までに申出が必要です。

また、上記に加え、保育園に入園できず待機児童になる場合や、子を養育予定であった配偶者等が、急遽子を養育できなくなった場合は、6か月毎、最長2歳誕生日の前日まで延長申請できます。

この場合、当初育休終了予定日の2週間前までに申出が必要です。

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育休の取得対象者

育休は、出産した女性本人だけでなく、夫・祖父母・里親の他、特別な事情による養育者も取得できます。

夫婦2人で育休を取得し、2人で子育てに専念することも可能です。

ただし、育休は全ての労働者に取得が認められているわけではありません。

この点は、全ての女性労働者に取得が認められている産休と、大きく異なる部分です。

また、取得希望者は、育休開始日の1カ月前までに、事業主あてに申出をしなければならない決まりになっています。(出生時育児休業の場合は、原則開始日の2週間前までに申出が必要)

2回に分割して取得する場合は、それぞれの育休期間について開始日の1カ月前までに申出しなければなりません。

出生時育児休業を分割取得する場合は、2回分のスケジュールを1回目休業開始日の原則2週間前までにまとめて申出しなければなりません。

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育休対象外となる者

  • 会社代表者・役員に就任しており労働者でない者
    ただし、雇用保険に加入している使用人役員など、労働者性が強い役員は取得できます。
  • 日雇い労働者
  • 通常の育児休業の場合は、期間雇用で、子が1歳6か月になる日の前日までに、契約終了することが明らかな労働者(*)
  • 出生時育児休業の場合は、期間雇用で、子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月以内に契約終了することが明らかな労働者

(*)
期間雇用で、2歳まで育休延長を申請する場合は、2歳誕生日の前日までに、契約終了することが明らかな労働者は対象外となります。

以上の者は、育休を取得することができません。

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労使協定で育休対象外にできる労働者

  • 全ての勤続1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 申出の日から1年以内に退職することが明らかな全ての労働者
  • 子が1歳6か月、または2歳になるまで育休延長を申出する際、6か月以内に退職することが明らかな全ての労働者
  • 出生時育児休業については、申出日から8週間以内に雇用関係を終了することが明らかな労働者

なお、労使協定がない場合については、上記に該当している者から育休取得の申出があった場合も断ることはできません。

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育休の取得は原則2回まで分割可能

育休は養育対象児1人あたり原則2回まで分割して取得することが可能です。

ただし、以下の通り、例外が認められています。

例外①:養育対象児の負傷・疾病・精神障害

育休を早めに切り上げて職場復帰したものの、育休の対象となっていた子が負傷・疾病・精神障害の状態となり、2週間以上看護が必要な状態となった場合には、3回目の育休取得が認められます。

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例外②: 新たな産休・育休又は介護休業の開始により育休を途中終了した場合

新たな産休・育休又は介護休業の開始により育休を途中終了した場合で、新たな産休に係る子や介護休業に係る対象者が死亡した場合は、3回目の育休取得が認められます。

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例外③:急遽入園した保育園に登園させられなくなった場合など

子を保育園等に入園させ育休を早めに切り上げて職場復帰したものの、転居等、なんらかの理由で、急遽保育園等へ登園させられなくなってしまった場合は、3回目の育休取得が認められます。

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育休の申出は原則1カ月前まで(出生時育休申出は2週間前まで)

出生児が1歳になるまでの育休を取得する場合、事業主あて申出は、原則休業開始日の1カ月前までに行わなければなりません。
(2回に分割して取得する場合も、それぞれの休業開始1カ月前までに申出しなければなりません)

ただし、1歳を超えて育休を延長する必要がある場合は、延長開始予定日の2週間前までに、事業主へ申出すればよいこととなっています。

また、子を養育予定であった配偶者の死亡・負傷・疾病や離婚等を理由とする場合には、1週間前までの申出でよいとする特例もあります。

出生時育児休業(産後パパ育休)については原則2週間前までに申出しなければならず、分割取得する場合は2回分の休業スケジュールをまとめて申請する必要があります。

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育休の申出撤回

育休は休業開始予定日の前日までに申出すれば撤回できますが、特別の事情がない限り再度の申出ができなくなります。
(撤回した場合は、「撤回の対象となった」1回分の休業を取得したものとみなされます)

つまり、前半・後半2回に分割取得予定の育休について前半の申出撤回を行ったとした場合、再申出できなくなるのは1回目に取得予定であった育休のみということになります。

なお、「出生時育児休業」を2回に分割して取得する場合は、2回分をまとめて申出しなければならないルールとなっていますが、1回目を取得しなければ2回目はあり得ませんので、1度撤回した後も、分割取得予定であった後半(2回目)部分については、単独で再申出することが可能となります。

ちなみに、特別の事情がある場合は、撤回の有無に関わらず再申出可となっていますが、ここでいう特別の事情とは、配偶者の死亡や離婚等により、子を1人で養育しなければならなくなった場合等を指します。

また、例外として、子が1歳到達時に保育園等へ入園できず入園待機児童となってしまった場合に、配偶者等と交代しての育休取得を希望する場合も再取得が認められることとなっています。

ただし、実務上は、育休撤回を行うと欠員配置の問題等で人事上のトラブルが発生しかねません。
あらかじめ、育休撤回は回避してもらいたい旨、育休希望者に説明しておくべきでしょう。

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なお、育児休業に関する情報については、以下のブログでも分かりやすく解説しています。

育児休業給付金

生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合に支給される「出生時育児休業給付金」については、以下のブログをご参照下さい。

育休期間中については、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

ただし、退職予定の方や、その他支給要件を満たしていない方には支給されませんので注意が必要です。

育休開始から180日間の月額支給額

育休(産休)開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180日 × 30日* × 67%

<上限約31.0万円/月・下限約5.5万円/月(令和5年8月改定)> *育休終了月は実日数

上記の「育休(産休)開始前6か月間の賃金総額」とは、休業開始日直前にある「賃金締切り期間」のうち・・・

「賃金支払い基礎日数が11日以上」もしくは「賃金支払い基礎となった時間数が80時間以上」を満たす期間(=完全賃金月)

のみを集計した、直近6カ月分の賃金総額を指しますので、あわせて確認しておきましょう。

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育休開始から180日経過以降の月額支給額

育休(産休)開始前6カ月間の賃金総額 ÷ 180日 × 30日* × 50%

<上限約23.1万円/月・下限4.1万円/月(令和5年8月改定)> *育休終了月は実日数

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給付金受給のタイミング

初回給付金の支給申請は、育休開始から2カ月経過後に行います。
(その後、2カ月毎に、2回目以降の支給申請を行っていきます)

申請後、銀行口座入金まで、さらに1カ月以上かかることが通例です。

よって初回の育休給付金を受給することができるのは、育休開始日から通常、3~4カ月経過後となります。

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支給期間

最長で子の1歳誕生日の前々日まで支給されます。
(育休終了日は最長で1歳誕生日の前日まで→支給期間は1日短く設定されます)

子が待機児童となり、保育園等に入れない場合は、1歳6か月となる日の前日まで、育休を延長できます。
それでも入園できない場合は、最長2歳誕生日の前日まで延長できます。
(給付金支給は各年齢となる日の前々日まで)

また上記の延長理由に加え、育休対象児を養育する予定であった配偶者等が死亡・けが・病気・離婚等、急遽やむを得ない理由によって育児をすることができなくなった場合についても同様に延長が認められる場合があります。

育休を延長した期間については、育休給付金も延長して受給できます。

なお、子の1歳誕生日前々日より前に育休終了する場合は、育休終了日迄の日数分しか育休給付金は支給されません。

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育休期間中やむをえず退職することとなった場合について

育休期間中、やむをえず退職することとなった場合については、育休開始日から起算した1カ月毎の各支給単位期間において、退職日の属する期間の1つ前の支給単位期間までしか支給は行われません。

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育児休業給付金の支給対象外となる者

上記に該当する者は、育児休業給付金を受給することができません。

  • 育休開始日の前日から、1カ月応答期間毎に24回(2年間)さかのぼった各期間(=完全月)の中に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上または80時間以上ある完全月が12カ月に満たない労働者
  • 雇用保険に加入していない労働者
  • 退職予定の労働者
  • 育児介護休業法で認める理由以外で育児の為の休業を再取得した労働者

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育児休業給付金の支給調整

育休給付金が支払われない場合

育休開始日から起算した1カ月毎の各支給単位期間内において

  • 10日間、かつ80時間を超えて就労した場合

または

  • 「賃金月額*」の80%以上の給与が支払われた場合

については給付が行われませんのでご注意下さい。

なお、ここでいう給与とは、育休期間中の就労に対して支払われた給与のみの合計額を指します。

(注)

上記10日超や80時間超の就労実績については、育休期間中、雇用保険被保険者となっていない事業所で副業した場合は、その就労実績も含めて判定します。

対して、育休期間中に支払われた賃金額については副業先等からの賃金支払実績はカウントせず、雇用保険被保険者となっている本業のみで判定します。(雇用保険は本業1社でのみ加入可能)

「賃金月額」*とは

育休開始前6か月間の賃金総額÷180日×30日を指します。

上記金額に67%(あるいは50%)を乗じた金額が、育休給付金の支給額となりますので、「掛け目を乗じる前の6か月賃金平均額」に相当します。

なお、賃金月額には上限額と下限額が定められている点、注意が必要です。
上限額:462,900円 / 下限額:82,380円(令和5年8月~)

例1)

賃金月額が30万円で、支給単位期間中に給与25万円が支払われた場合。

賃金月額30万円×80%である24万円を上回る給与が支払われておりますので、育休給付金の全額が支払われません。

なお、ここでいう給与とは、育休期間中の就労に対して支払われた給与のみの合計額を指します。

例2)

賃金月額が60万円で、支給単位期間中に給与40万円が支払われた場合。

賃金月額上限額462,900円の80%である、370,320円を上回る給与が支払われておりますので、育休給付金の全額が支払われません。

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育休給付金が減額支給される場合

育休開始日から起算した1カ月毎の各支給単位期間内において、支払った給与額が「賃金月額」の80%未満の期間については、「賃金月額」の80%相当額と支払われた給与額との差額が、育休給付金として支給されます。

ただし育休開始日から180日までの間は、支払われた給与額が「賃金月額」の13%(80%‐支給率67%)未満であれば、育休給付金は減額されません。

育休開始日から180日経過後については、支払われた給与額が「賃金月額」の30%(80%‐支給率50%)未満であれば、育休給付金は減額されません。

なお、ここでいう給与額とは、育休期間中の就労に対して支払われた給与のみの合計額を指します。

例1)

賃金月額が30万円で、支給単位期間中に給与12万円が支払われた場合。

賃金月額30万円×40%である12万円が給与として支払われておりますので、賃金月額30万円×80%である24万円と12万円との差額である、12万円が育休給付金として支払われます。

例2)

賃金月額が30万円で、支給単位期間中に給与3万円が支払われた場合。

賃金月額30万円×10%である3万円が給与として支払われておりますが、賃金月額30万円×13%未満であるため、育休給付金は減額されません。

(育休開始日から180日までの間の場合)

例3)

賃金月額が60万円で、支給単位期間中に給与30万円が支払われた場合。

賃金月額上限額462,900円の80%である、370,320円と30万円との差額70,320円が育休給付金として支払われます。

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2人目の子の産休を続けて取得する場合の留意点

1人目の子の育休期間中に、2人目の子を妊娠し、新たな産休を取得する場合等において、1人目の育休期間中に、10日間、かつ80時間を超えて就労した月がありますと、その就労に対して支払われた賃金額が、2人目の子の育休給付金決定時において、育休開始前6か月間の賃金総額として、算定基礎に含まれる場合があります。(含むか否かは、当局が決定します)

この場合、2人目の子の育休給付金支給額が引き下げられる可能性がありますので、ご留意ください。

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産後一定期間の給付金支給率を実質100%へ引き上げる制度が検討されています(令和7年4月 施行予定)

「産後の一定期間」において、両親共に14日以上の育児休業を取得した場合に限り、両親それぞれへの給付について「給付率67%の(出生時)育児休業給付金」に上乗せするかたちで、28日間を限度「給付率13%の出生後休業支援給付金(仮称)」を支給し、給付率を合計80%へ引き上げすることが検討されています。

上記の新たな給付金が上乗せ支給される期間は、社会保険料控除も加味した場合、「実質100%」の手取り補償が行われることとなります。

ちなみに、上記の「産後の一定期間」については・・・

  • 男性労働者の場合は子の出生後8週間以内
  • 子を出生した女性労働者の場合は、産後休業開始後8週間以内

となる見通しです。

なお、「ひとり親の家庭」や「配偶者が就業していない」など、「配偶者が育児休業を取得していること」を支給要件として適用できない被保険者に対しては、「両親共に育児休業を取得していること」を支給要件としない方向で検討が進められています。

なお、育児休業給付金についての情報は、以下のブログで詳しく解説しています。

育休期間中の社会保険料免除

育休期間中の健康(介護)保険料・厚生年金保険料は、所定の申請を行うことで、特例として本人負担分、会社負担分ともに全額免除となります。

休業期間中に給与や賞与が支払われたとしても全額免除の対象となります。

具体的な免除期間は休業開始月から休業終了日の翌日が属する月の前月分までです。

休業終了日が月末日の場合は、休業終了月分までが免除となります。

育休終了日が月末日以外である場合、育休終了月に支払われた給与・賞与に対する社会保険料は原則免除されません。

ただし、育休開始日と育休終了日が同一月内となる場合に限り、14日以上育休を取得した場合は、月末日に休業していなくても保険料が免除されます。

ご参考

極端な話、月末日の1日だけ育休を取得する場合も、月末日が属する月に支給される給与にかかる社会保険料の全額が免除対象となります。

ただし、賞与支払いに対する社会保険料免除については、1カ月を超えて育休を取得した場合にのみ認められます。

なお、上記の保険料免除は育児介護休業法に基づく育休終了後、企業が独自に、子が3歳になるまでの育休に準ずる休業を認めた場合も対象となります。

ただし、上記の期間については雇用保険から育休給付金は支給されませんので混同しないよう注意が必要です。

免除期間中の特例

保険料免除期間中は休業開始日直前の標準報酬月額で計算した保険料を納付済であるものとみなします。
よって、将来受け取る年金額が減額される心配はありません。

3歳到達後も休業を認める場合は、社会保険料免除の規定は適用されず、賃金を支払わなくても、健康(介護)保険料・厚生年金保険料を支払う必要があります。

この場合、本人のみならず、会社も折半で保険料を負担しなければなりません。

なお、育休期間中の社会保険料免除については、以下のブログで詳しく解説しています。

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育休期間中の労働保険料

雇用保険料

雇用保険料の本人負担分は、賃金の支払いがない場合は発生しません。
賃金の支払いを行った場合のみ、徴収します。

なお、雇用保険料の徴収要否を判断するにあたっては、育休中であるか否かは特に関係がなく、賃金の支払いがある場合は必ず徴収が必要であり、賃金の支払いが無ければ徴収は不要です。

雇用保険料の会社負担分については年度毎の算定に基づく支払いのためとくに手続きは必要ありません。

労災保険料

労災保険料については、会社全額負担かつ年度毎の算定に基づく支払いのため、とくに手続きは必要ありません。

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育休期間中の給与・賞与支給注意点

  • 育休期間中に給与・賞与を支給した場合、健康(介護)保険料・厚生年金保険料は免除となる場合がありますが、雇用保険料と所得税は免除とならず、他の従業員同様、給与・賞与からの源泉徴収手続きが必要となります。
  • 育休期間中に給与を支給した場合、育休給付金の支給調整が行われる場合がありますが、育休期間中に賞与を支給しても支給調整は行われません。

ちなみに、育休の取得を理由に賞与を支給しないことは、育児介護休業法第10条に定められた、不利益取扱いの禁止事項に抵触します。

賞与支給の目的には今後の成績に対する期待も加味されるため、育休を取得する従業員の賞与を減額査定することは一概に違反とまでは言えませんが、不利益取扱いにならないよう合理的な説明が必要となります。

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育休期間中の通勤交通費

育休期間中の通勤交通費支払については、特にルールは無く、会社が自由に決定します。

ただし、就業規則や賃金規定に、あらかじめ定めがある場合は、その定めにしたがって下さい。

なお、休業期間中の通勤交通費については、あらかじめ、休業予定日数に応じて減額を行い、休業期間中に出社した場合については実費清算とする方法をおすすめします。

通勤定期券を現物支給している場合も、可能な限り、払い戻しの手続きを行い、休業前に精算しておくことが望ましいです。

休業期間中の日数分についても、一律固定額を支給したままにしておくと、後々、育休給付金の支給額算定の際、休業期間中に固定的賃金を支払ったものとして支給調整の対象となる可能性があります。

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会社独自の育休(に準ずる)制度について

育児介護休業法上の育休に加え、子が3歳あるいは小学生になるまで休業可能とする制度を独自に設ける企業もあります。

ただし、この場合、育休給付金の支給が行われないことや、子が3歳に到達した後、休業中の社会保険料免除を受けられない点に留意しなければなりません。

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育休を取得した日の取扱い

有給休暇付与日数の計算

全労働日の80%以上出勤が年次有給休暇の付与条件となっていますが、育休取得日は全て出勤したものとみなして計算します。

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平均賃金の計算

休業手当の算定時など、労働基準法上の平均賃金を求める必要が生じた場合、直前の給与締切り期間3カ月分の平均給与が算定基礎となりますが、育休取得期間とその期間中に支払われた賃金額は、算定基礎から除外して計算する決まりになっています。

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雇用保険の失業給付<基本手当>支給日数計算

求職者給付<基本手当>→いわゆる雇用保険の失業給付は、離職前に雇用保険被保険者であった期間に応じ所定給付日数が決定されますが、育休期間中は、被保険者期間に含めないこととなっています。

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育休の申出をする前に指定した年次有給休暇

育休を申出する前に、年次有給休暇の時期指定が行われていると、育休取得よりも年次有給休暇取得の方が優先されて、事業主に当該日数分の給与支払い義務が発生します。
(計画年休の一斉付与を行う時は、特に注意が必要です)

この場合、育休期間中は無給と定めていても、育休期間中に給与を支払わなければならないことになってしまいます。

また、育休期間中に年次有給休暇分の賃金を支払ったとした場合、育休給付金の給付額算定上、この賃金支払実績が反映され、場合によっては、給付金の支給額が減額調整されることも考えられます。

実務上、このようなケースが発生してしまった場合は、休業する方本人の了解を得た上で、年次有給休暇の時期指定を取り消しておくことが現実的です。

ただし、本来は、以下のとおり、事前の対策を行っておくべきです。

  • 育休予定のある従業員から年次有給休暇の申出があった場合には、育休期間と年次有給休暇希望日が重ならないよう、事前打ち合わせする。
  • 就業規則、計画年休の労使協定に、産休・育休取得対象者は年次有給休暇の計画的付与対象者から外す旨定めておく。

上記については事務手続き上の盲点となりやすい部分ですので、事前把握の上、先回りしてのご対応をお願いします。

なお、育児休業給付金の支給額よりも年次有給休暇中に支払われる賃金額の方が大きくなる等の理由で、休業する方本人から年次有給休暇取得を優先したい旨の申し出があった場合は、これを拒否することはできません。

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当事務所では、「産休・育休手続ナビゲーション+申請手続代行サービス」を行っております。

メールのみで・・・

  • お申込み
  • 最新の産休・育休制度内容把握
  • 事務手続(代行)

まで、一筆書きで完了させることができるサービス内容となっております。

あわせて「育休取得時の助成金申請代行サービス」も行っております。
(助成金のみサポートも可能です)

完全オンライン対応で、就業規則等改定~助成金申請代行まで個別にサポート致します

  • 産休・育休取得実績が乏しい中小零細企業のご担当者様
  • ご多忙につき、「情報収集の時間確保」が難しいご担当者様
  • 業務中断せず、自分のペースでメール支援を受けたい方

からご好評いただいております。

全国47都道府県対応

当サービスをご利用いただくと、以下①~⑥の全てを、一筆書きで完了させることができます。

  1. 産休・育休申出者への相談対応に必要となる最新の制度情報収集
  2. 休業申出書・育休取扱通知書等、各種必要書面の準備
  3. 切迫早産・切迫流産等発生時の傷病手当金(*)、帝王切開時の高額療養費限度額適用認定(*)申請
  4. 出産手当金(*)・育休給付金・社会保険料免除等、産休・育休に必要な全ての申請(手続代行)
  5. 社会保険料引き落しの停止や地方税徴収方法変更等、給与支払事務の変更手続
  6. 職場復帰後の「休業終了時 社会保険料特例改定」(手続き代行)
  7. 「厚生年金保険料 養育期間特例適用」申請(申請書作成のみサポート)

(*)電子申請できない書類は書面作成のみサポート致します。

CLASSY. 2024年2月号(12/27発行) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました

従業員数が多い企業様に対しては、産休・育休のみに特化したアドバイザー業務の提供も行っております。

アドバイザー業務の内容は、主に・・・

  1. 産休・育休関連手続きに関する常時相談対応(メール対応)
  2. 特殊なケースを含めた各種手続きサポート+申請手続き代行
  3. 次世代法及び女性法(*)による一般事業主行動計画の策定支援
  4. 次世代法及び女性法(*)による年度毎の情報公表等支援
  5. 育休関連の助成金(および奨励金)等選定+申請サポート

(*)次世代育成支援対策推進法・女性活躍推進法

等となります。

年間休業取得者数の見通し等に基づき、完全カスタマイズで契約形態・利用料金等をご相談いただけます。(サポートはオンライン対応のみとなります)

全国47都道府県対応