■このページでは、両立支援等助成金<育休中等業務代替支援コース「新規雇用(育児休業)」>の支給要件について詳しく解説しています。
◆この情報は令和6年度〔令和6年4月1日~令和7年3月31日まで〕の助成内容に基づきます。
~なお、現時点では令和7年度も令和6年度と同内容の助成が行われる見通しとなっています。
この制度は、対象となる育児休業(*)開始日が令和6年1月1日以降の場合に申請できます。
育休(*)開始日が令和5年12月31日以前の場合はこちらをご参照下さい。
(*)産休に続けて育休を取得した場合は産後休業
◆育休関連コースの助成金については、原則、以下にあてはまる中小企業事業主のみが申請を行うことができます。
小売業(飲食業を含む) | 資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 50人以下の事業 |
---|---|
サービス業 | 資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業 |
卸売業 | 資本金又は出資額が 1億円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業 |
その他 | 資本金又は出資額が 3億円以下、または常時雇用する労働者数が 300人以下の事業 |
なお、上記いずれかの基準を満たす中小企業事業主であっても、労働関係法令に違反する等、別途定める不支給要件にあてはまる場合は申請することができませんのでご注意下さい。(詳細については以下の記事をご参照下さい)
新規雇用(育児休業)の助成内容
この助成金制度は、一定要件のもと、育児休業取得者の業務代替要員を新規雇用した中小事業主が申請できる制度です。
育休取得者1名毎に同一の子の育休について1回に限り申請できます。
申請できる金額は、新規雇用者が業務を代替した期間に応じて定められています。
業務代替期間に応じて助成金額が決まる
- 7日以上14日未満:9万円(11万円)
- 14日以上1カ月未満:13.5万円(16.5万円)
- 1カ月以上3カ月未満:27万円(33万円)
- 3カ月以上6か月未満:45万円(55万円)
- 6か月以上:67.5万円(82.5万円)
( )はプラチナくるみん認定事業主の場合
☑
7日以上14日未満で、育休期間前後に所定労働日でない会社休日が連続している場合には、当該日の内2日間を7日に含めることができます。
☑
7日以上14日未満の業務代替期間中には、育休取得者本来の所定労働日が3日以上含まれていなければなりません。
☑
14日以上1カ月未満の業務代替期間中には、育休取得者本来の所定労働日が6日以上含まれていなければなりません。
☑
育休を分割取得した場合は、その分割期間に対する業務代替期間を全て合算し、基準を満たせば支給対象となります。
合算後の業務代替日数(*)は「30日を1カ月」「90日を3カ月」「180日を6か月」へと読み替えて判定します。
(*)代替期間に2/1~2/29のいずれかの日を含む場合は「30」「90」「180」の各日数から2日を減算して判定します
育休取得者が有期雇用労働者である場合は加算が受けられる
育休取得者が有期雇用労働者の場合は、さらに10万円を加算申請できます。
ただし、業務代替期間が1カ月以上の場合に限ります。
(上記の育休取得者を育休開始前6か月間に無期雇用労働者として雇用したことがある場合は加算申請することはできません)
1年度あたり10名、通算5年間に渡って申請できる
この制度は、同一コース(育休中等業務代替支援コース)内にある・・・
- 手当支給等(育児休業)
- 手当支給等(短時間勤務)
- 新規雇用(育児休業)→当制度
の全申請数を合算し、年間述べ10名分まで、通算5年間に渡り申請することができます。
年間延べ10名分とは・・・
各年4/1~翌3/31までの1年度において、支給対象となった育休取得者と育児短時間勤務制度利用者の合計人数
を指します。
5年間とは・・・
初年度において、最初に申請を行った制度の「助成金申請期間の初日」から起算した5年間
のことを指します。
プラチナくるみん認定事業主は、年間延べ10名の規定が免除されています。
(令和11年3月末までに延べ50名まで申請できます)
なお、当制度と手当支給等(育児休業)の制度は、同一育休取得者に対して併給申請できません。
(いずれか一方のみ申請することができます)
それでは、具体的な申請要件について見ていきましょう。
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対象事業主および育休取得者が満たしていなければならない要件
この助成金の申請を行うためには・・・
■
最短でも7日(うち所定労働日3日)以上(*1)の育休(*2)を取得していること
(*1)育休期間の前後に所定労働日でない会社休日が連続している場合は、当該日のうち2日までを7日間に含められます
(*2)産休に引き続き育休を取得している場合は産後休業期間も含めます
■
育休開始日よりも前に育休制度および育児短時間勤務制度が、就業規則(育児休業規程)等に規定されていること
■
申請時までに次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表および所轄労働局への届出が行われていること
が必要となります。
さらに、育休期間1カ月以上(*)の業務代替の場合は・・・
(*)育休を分割取得している場合は、合計30日(2/1~2/29までのいずれかの日を含む場合は28日)に読み替えて判定を行います
育休取得者本人が
■
原職等に職場復帰(職場復帰前までに就業規則等に原職等への復帰について規定)していること
■
職場復帰後3カ月以上継続雇用されていること
も必要となります。
なお、上記以外にも以下の通り、より詳細な支給要件が定められています。
☑
本人の希望により原職以外に復帰した場合は、面談記録で経緯を確認できなければなりません
☑
無期雇用労働者であった者を有期雇用労働者として職場復帰させた場合は支給対象となりません
☑
育休取得者は育休(産後休業を含む)開始日から支給申請日までの間、雇用保険被保険者として雇用されていなければなりません
☑
職場復帰後3カ月間に雇用形態や給与形態の不合理な変更が行われていてはなりません
☑
職場復帰後3カ月間において、就業予定日数に対する実就業日数の割合が5割以上なければなりません
<就業日数の数え方>
①法に基づく休業(年次有給休暇・産休・育休・介護休業等)取得日は就業した日としてカウントします
②法に基づく休業以外に就業規則等に定めた休暇を取得した日も就業した日とみなします。
→ただし、各月①②の合計時間数は、各月所定労働時間の20%以下でなければなりません
③育児短時間勤務制度(又はこれに準ずる措置)利用により所定労働日から除外された日は、就業予定日数に含めず判定します
④在宅勤務により職場復帰した場合は、出勤簿・業務日報等により勤務日・始業終業時刻が確認できる日に限り就業した日とカウントします
なお、1カ月未満の業務代替につき申請する場合は、上記を満たしていなくても構いません。
育休取得者が派遣社員の場合
育休開始日から職場復帰日まで、同一派遣元事業主のもとで雇用されていなければなりません
(原則、育休前後で派遣先の変更があってはなりません)
業務代替者が満たしていなければならない支給要件
代替しなければならない業務の範囲
☑
業務代替者は、育休取得者の業務を代替していなければなりません。
☑
育休取得者が複数業務を兼務していた場合、その一部の業務のみの代替でも構いません。
ただし、育休取得者・業務代替者双方の労働条件通知書等で、明確に業務代替していることが確認できなければなりません。
従前制度から緩和された点
従前制度「育児休業等支援コース 業務代替支援A(新規雇用)」では、業務代替者は「育休取得者の業務を全て代替している」必要がありましたが、この要件は緩和されました。
育休取得者が資格がなければできない業務を行っていた場合
☑
育休取得者が有資格者であり、その資格が無ければできない業務を代替する場合は、その業務代替者についても有資格者でなければなりません。
育休取得者に業務関連の手当が支払われていた場合
☑
育休取得者に対し「業務関連の手当」を支給していた場合には、業務代替者に対しても同内容の手当が支給されていなければなりません。
☑
業務内容が同一であるにも関わらず、業務代替者のみ当該手当が不支給の場合は対象外となります。
育休取得者と同一事業所・部署への勤務が必要
☑
新規雇用した業務代替者は、育休取得者と原則、同一の事業所及び部署に配属されていなければなりません。
ただし、以下の場合を除きます。
・育休取得者の業務を企業内の他の事業所に移管した等の理由により、他の事業所において業務代替者を確保する場合
・育休取得者が在宅勤務等により勤務場所を限定しない働き方をしていた場合
これらの場合は、業務代替者が育休取得者の代替要員であることが説明できるエビデンスの添付が必要です。
育休取得者の1/2以上、所定労働時間が必要
業務代替者の所定労働時間は育休取得者の1/2以上なければなりません。(従前制度「業務代替支援A(新規雇用)」の80%以上からは大幅に緩和されました)
具体的には、以下の両方に該当していなければなりません。
・1週あたりの所定労働日数が育休取得者と同一である場合は、1日あたりの所定労働時間数が1/2以上であること
・1週あたり所定労働時間数の合計が1/2以上であること
なお、業務代替者を複数名確保する場合は、全ての代替者の所定労働時間数を合算し、育休取得者の所定労働時間数と比較することができます。
ただし、1日あたりの所定労働時間数の合計で比較をする場合は、1週あたりの所定労働日数が、全ての業務代替者について、育休取得者と一人も違わず同一でなければなりません。
子の出生予定を知った日以降に雇用した者でなければならない
業務代替者は新たな雇い入れ又は新たな派遣によるものであり、雇用契約又は派遣契約の始期は、育休取得者(又はその配偶者)の妊娠の事実(*)を事業主が知った日以降でなければなりません。
(*)養子の場合は養子縁組の成立
欠勤日・休業日を業務代替期間に算入できる場合
以下の場合は、欠勤日・休業日を業務代替期間に算入することができます。
・単発的な短期欠勤の場合(各月ごと所定労働時間数の10%以下までに限ります)
・法に基づく休業(年次有給休暇・産前産後休業・育児休業など)の場合
・就業規則等に規定されているその他の休暇制度に基づく休業の場合
(各月ごと所定労働時間数の20%以下までに限ります)
在宅勤務日についても始業就業時刻の確認が必要
業務代替者が在宅勤務した日についても、出勤簿・業務日報等で勤務日および始業終業時刻が確認できる日でなければ業務代替した日としてカウントされません。
複数の新規雇用者が業務代替した場合も認められる
複数の業務代替者を新規雇用し、育休取得者の業務を期間を分割して代替した場合も支給対象となります。
ただし、支給対象となる業務代替期間は、分割して業務代替を行った合計期間となります。
玉突きによる業務代替も認められる
別の労働者が「育休取得者の業務」を代替する一方で、「別の労働者の業務」の代替者を新たに雇用した場合(玉突き代替)も支給対象となります。
なお、玉突き代替の場合は、「育休取得者」を「別の労働者」に読み替えて要件を判定します。
ただし、玉突きによる業務代替者の所定労働時間は、「別の労働者」ではなく「育休取得者」と比較して1/2以上なければなりません。
具体的には、以下の両方に該当している必要があります。
①1週あたりの所定労働日数が育休取得者と同一である場合、1日あたりの所定労働時間数が1/2以上あること
②1週あたりの所定労働時間数の合計が1/2以上あること
上記も、従前制度「業務代替支援A(新規雇用)」の80%以上からは大幅に緩和されています。
支給申請期限を間違えないように注意!
この助成金の支給申請期間は・・・
☑
育休期間1カ月以上の場合は、育休終了日の翌日(職場復帰日)から起算し、3カ月を経過する日の翌日から2か月以内
☑
育休期間1カ月未満の場合は、育休終了日の翌日(職場復帰日)から2か月以内(3カ月経過の要件はありません)
となっています。
支給申請期間を間違えないように注意しましょう。
支給申請時に必要となる提出書面・データ
新規雇用(育児休業)の支給申請を行う際には、人事・労務関係の本社機能を有する事業場から、当該事業場を所轄する労働局長あてに、以下の書面を提出する必要があります。
■助成金申請書 (新規雇用〔育児休業〕支給申請書)
■以下を含む労働協約または就業規則(育児介護休業規程)及び関連する労使協定
・最新の法令に基づく育児休業制度および育児短時間勤務制度の規定
・育休終了後の原職等への復帰規定(育休期間1カ月以上の場合のみ)
→職場復帰日前に規定されたもの
・法令を上回る育児休業制度を運用している場合は、その部分の規定
なお、就業規則作成義務のない常時10人未満の事業場で、所轄労働基準監督署への届出を行っていない場合は、就業規則に準ずるものに添えて、社内周知したことのエビデンス(労使連名の申立書等でも可)を提出しなければなりません。
休業者の所属する事業場が常時10名未満であっても、他に10名以上の事業場を運営している場合は、当該10名以上事業場(本社等)の労基署届出済就業規則等も提出しなければなりません。
■育児休業申出書(もしくは期間変更申出書)
・複数回に分けて育休取得している場合は、その全期間分
■育休取得者の部署・職務及び所定労働時間・所定労働日又は所定労働日数が確認できる書類
・育休前・職場復帰後それぞれの組織図・労働条件通知書・就業規則および企業カレンダー等のうち上記の内容が確認できるもの
(育休期間1カ月未満の場合、職場復帰後のものは提出不要)
・シフト制勤務の場合は勤務シフト表
・育休期間1カ月以上で、原職等以外に復帰する場合は、当該希望が確認できる面談記録(厚労省所定の面談シートに記載)
■育休取得者の就業および休業実績が確認できる書類
・育休(産休に続けて取得した場合は産前休業)開始前1カ月分および職場復帰後3カ月分の賃金台帳・出勤簿
(育休期間1カ月未満の場合、職場復帰後のものは提出不要)
・育休期間に休業したことが確認できる書類(育休期間の賃金台帳・出勤簿等)
・休業開始月や終了月等、休業日数分の賃金控除が発生している月の賃金台帳には、その算出方法を示した説明書面(任意書式)を添付
・在宅勤務の場合は勤務実績を確認できる出勤簿あるいは業務日報等
・育休期間1カ月以上の場合で、職場復帰後に育児短時間勤務制度を利用している場合は育児短時間勤務の利用申出書および利用期間中の賃金計算方法を確認できる書類(育児短時間勤務取扱通知書など)
■育休取得者に養育する子がいることを証明する書面
・母子健康手帳の子の出生証明欄があるページの写し等
■業務代替者の部署・職務及び所定労働時間・所定労働日又は所定労働日数が確認できる書類
・業務代替者(玉突きによる代替者を含む)の組織図・労働条件通知書・就業規則および企業カレンダー等のうち上記の内容が確認できるもの
・シフト制勤務の場合は勤務シフト表
■業務代替者の雇入れ時期・派遣時期が分かる書面
・労働条件通知書・辞令・労働者派遣契約書・派遣先管理台帳など
■業務代替者の就業実績が確認できる書面
・新規雇入れ日から業務代替期間最終日までの出勤簿・賃金台帳
・玉突き代替の場合は「いったん育休取得者の業務を代替した労働者」の出勤簿・賃金台帳(業務代替期間、全てのもの)
・在宅勤務の場合は、勤務実績を確認できる出勤簿・業務日報等
■次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定届の写し等
・所轄労働局あてに提出した一般事業主行動計画策定届の写し
・厚生労働省サイト「両立支援のひろば」もしくは自社ホームページ等へ掲載・公表した一般事業主行動計画の内容および画像
■有期雇用労働者加算を申請する場合は、育休取得者が有期雇用労働者であることを確認できる書面
・労働条件通知書もしくは雇用契約書等
以上を、網羅した後、「新規雇用(育児休業)」の助成金支給申請手続きを行うことができます。
申請先は、本社等(*)の所在地にある労働局 雇用環境・均等部(室)となります。
(*)人事労務管理の本社機能を有する事業所を指します
当事務所では、小規模企業の産休・育休をバックアップすべく・・・
育休関連助成金の申請サポート【事前手数料なし / 完全成果報酬制】を行っております。
(東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金 の併給申請サポートも可能です)
◆育休推進企業に向けては、育休関連経費を大幅に上回る助成金制度が準備されています。
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