■この記事では、子の出生後8週間以内に取得した場合の「育児休業」「出生時育児休業」の取扱いについて解説しています。
「出生時育児休業(産後パパ育休)」と「育児休業」は全く別の制度
令和4年10月より、子の出生後8週間以内限定で取得することができる「出生時育児休業(産後パパ育休)」制度が始まりました。
この制度は、産婦の夫が出産直後に育児参加しやすくなるよう想定して作られたものであり・・・
✅通常の「育児休業」とは、全く別物の休業制度として取得することが可能
となっています。
つまり・・・
✅産後8週間については、「出生時育児休業」及び、通常の「育児休業」の両制度が利用可能
ということになります。
出生時育児休業の制度が始まって以降・・・
・男性従業員が産後8週間以内に開始する育休は、全て「出生時育児休業」扱い?
と誤解されている実務担当者の方が非常に多いように思われますが、先述の通り「両制度を利用可能」がその回答となります。
制度上、どちらかを優先して取得しなければならないといった決まりはありません。
産後8週以内に開始の場合「出生時育児休業」「育児休業」どちらを優先すべきか?
それでは、男性従業員が、産後8週間以内(*)に育休を開始するとした場合、「出生時育児休業」と、通常の「育児休業」のどちらを優先すべきか?について見ていきましょう。
(*)実際の「出産日」または「出産予定日」当日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間を指します
この「どちらを優先すべきか?」については、以下の条件によって選択肢が異なってきます。
①出産予定日が近くなってから正式申出したい場合
②休業期間中に就業したい日がある場合
③産後8週間を超えて休業したい場合
④合計4週間を超えて休業したい場合
それでは、一つずつ見ていきましょう。
「育児休業」・「出生時育児休業」制度の各内容について確認したい方は、以下の記事もご参照下さい。
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①出産予定日が近くなってから正式申出したい場合
育児介護休業法において、育児休業の申出期限については・・・
✅ 通常の「育児休業」は、休業開始日の1カ月前まで
✅「出生時育児休業」は、休業開始日の2週間前まで(注)
(注)所定の雇用環境整備措置を実施し労使協定を締結済の企業では、申出期限を1カ月前までにできる場合があります
と定められています。
よって、この場合、従業員側からすれば「出生時育児休業」を選択したほうが申出しやすいこととなります。
②休業期間中に就業したい日がある場合
通常の「育児休業」については、あらかじめ予定して休業期間中に就業することは認められていません。
雇用保険法に基づく「育児休業給付金」制度では、1支給単位期間内において、10日間もしくは80時間までは就業可としていますが、これは、あくまでも「臨時的」「一時的」な就業の場合と規定されています。
詳細については以下をご参照下さい。
一方、「出生時育児休業」については、一定の範囲内であれば、あらかじめ就業を予定しての申出が可能となっています。
よって、休業期間中に就業したい日がある場合は「出生時育児休業」を選択することとなります。
③産後8週間を超えて休業したい場合
「出生時育児休業」は産後8週間以内に限って取得が認められている制度です。
よって、産後8週間を超えて休業したい場合は、通常の「育児休業」取得が必要となります。
なお、休業の取得方法については、通常の「育児休業」のみを単独で取得する場合に加え、以下のような組み合わせでの取得も可能となります。
✅産後8週間となる日までは「出生時育児休業」を取得、その翌日から続けて、通常の「育児休業」を取得
ただし、上記のように取得する場合は・・・
・「出生時育児休業」と通常の「育児休業」について両方の申出を行うべきこと
・「出生時育児休業」と通常の「育児休業」では申出期限が異なること
・雇用保険法に基づく「出生時育児休業給付金」と「育児休業給付金」は別々に申請しなければならないこと
の3点に注意する必要があります。
④合計4週間を超えて休業したい場合
産後8週間以内に休業する場合であっても、「出生時育児休業」は合計4週間(2回に分割可)までしか取得することができません。
このため、合計4週間を超えて休業したい場合は、通常の「育児休業」取得が必要となります。
なお、この場合も、通常の「育児休業」を単独で取得するのみでなく、以下のような組み合わせでの取得が可能となります。
✅合計4週間となる日までは「出生時育児休業」を取得、その翌日から続けて、通常の「育児休業」を取得
なお、このように取得する場合の注意点も、上記③「産後8週間を超えて休業したい場合」と同様になります。
育児休業・出生時育児休業について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご参照下さい↓
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