【令和6年度】育児助成金(両立支援等助成金)の全体像について

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このページでは、両立支援等助成金の中から育児休業に関連した制度のみを抽出し、その全体像について解説しています。

~この情報は令和6年度〔令和6年4月1日~令和7年3月31日まで〕の助成内容に基づきます~

両立支援等助成金について

厚生労働省では、各種助成金制度の一つとして「両立支援等助成金」の制度を設けています。

その目的とするところは、「職業生活と家庭生活の両立」や「女性活躍推進」に取組む事業主を支援することにあります。

「両立支援等助成金」の中には数種類の制度が存在しますが、ここではその一部である「育児休業に関連する助成金」のみに的を絞って詳述します。

両立支援等助成金(育休関連の制度)利用上の注意点

社員の方に「育児休業」もしくは「出生時育児休業(産後パパ育休)」を取得させた事業主は、一定の要件を満たした場合、両立支援等助成金を申請することができます。

ただし、この助成金を申請するためには、その対象となる「育児休業(産休に続けて取得する場合は産前休業」)」または「出生時育児休業」の開始日より前に、所定の「助成金申請要件」を整えておかなければなりません。

具体的には、「育児休業制度」「育児のための短時間勤務制度」についての規定や、「育休取得促進のための雇用環境整備措置」などが必要です。

なお、これらの助成金制度は、厚生労働省が定める「中小企業」の範囲を超える事業主は申請することができません。

中小企業の範囲について

■ 両立支援等助成金制度における「中小企業事業主(*)」の範囲は以下のとおりです。

以下の範囲を超える事業主は申請することができませんのでご注意下さい。

小売業(飲食業を含む)資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が  50人以下の事業
サービス業資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業
卸売業資本金又は出資額が  1億円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業
その他資本金又は出資額が  3億円以下、または常時雇用する労働者数が 300人以下の事業

両立支援等助成金の受給対象とならない事業主について

以下に該当する事業主は、たとえ個々の制度の要件を満たしていたとしても、両立支援等助成金を受給することはできませんのでご注意下さい。

■ 雇用関係助成金を申請し、不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けた場合で、当該決定日から5年を経過していない事業主

(申請日が平成31年3月31日以前の場合は、上記の決定日から3年を経過していない事業主)

■ 「他の事業主」の不正受給に「役員として関与したことのある者」を自社の役員に就任させている事業主で以下に該当する場合

  • 「他の事業主」が不支給決定又は支給決定の取り消しを受けた日から5年を経過していない場合
  • 「他の事業主」が不正受給に係る請求金を納付していない場合(時効が完成している場合は除く)

■ 支給申請を行った年度の前年度より前の労働保険料に未納がある事業主

(支給申請日の翌日から起算し2か月以内に納付を行った場合は除く)

■ 支給申請日前の1年間に、労働関係法令に違反した事業主

■ 支給申請日前の1年間に、以下の法令に対し、重大な違反をした事業主(法律名略称)

 ・育児介護休業法  ・次世代育成支援対策推進法  ・男女雇用機会均等法
 ・パートタイム労働法  ・女性活躍推進法

なお、育児介護休業法に対する重大な違反については、支給申請日~支給決定までの間に行われたものも含みます。

■ 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業又はこれらの一部を受託する営業を行う事業主(*)

(*)これらの営業許可を得ているだけの場合や、接待業務に従事しない労働者への助成金については申請できる場合があります

■ 事業主又は自社の役員に就任している者等が、暴力団と関わりのある場合

■ 事業主又は自社の役員に就任している者等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行い、又は行う恐れのある団体に属している場合

■ 支給申請日又は支給決定日の時点で倒産見込み、または倒産している事業主

■ 不正受給が発覚した際に、都道府県労働局等が「事業主名及び不正に関与した役員名等の公表を行うこと」について、あらかじめ承諾していない事業主

★「会社都合による解雇者」を出した事業主であっても、「両立支援等助成金」の申請を行うことは可能です。

さて、それでは、各制度の内容について見ていきましょう。

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  4. 次世代法及び女性法(*)による一般事業主行動計画の策定支援
  5. 次世代法及び女性法(*)による年度毎の情報公表等支援
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育児休業等支援コース

この助成金は、中小企業の基準を満たす企業のみを対象とし、男女を問わず、以下の各項目を推進した企業が、各項目ごとに申請できます。

新たに育児休業を取得させた企業を助成

従業員に育児休業(*)を3カ月以上取得させた場合・・・

育児休業等支援コースとして、育休取得時30万円を申請することができます。

(*)育児介護休業法に規定する育休(子が1歳〔あるいは延長後最長2歳〕になるまでの育休を指します
(*)産休に続けて育休を取得する場合は、産休業とあわせて3カ月以上の取得が必要です

ただし、この助成金は1事業主あたり「無期雇用労働者」「有期雇用労働者」それぞれ初回1名のみに限り申請することができます。

育児休業からの職場復帰に対する助成

3カ月以上の育児休業(*)を取得し、一定条件のもと職場復帰した従業員を6か月以上継続雇用した場合・・・

育児休業等支援コースとして職場復帰時30万円を申請することができます。

(*)育児介護休業法に規定する育休(子が1歳〔あるいは延長後最長2歳〕になるまでの育休を指します
(*)産休に続けて育休を取得する場合は、産休業とあわせて3カ月以上の取得が必要です

ただし、この助成金は「育休取得時」の支給対象となった労働者についてのみ申請することができます。

育児休業取得者の業務代替について助成(育休開始日が令和5年12月以前の場合)

令和5年12月31日までに開始した育休(産休に続けて育休を取得した場合は産後休業)取得者の業務代替について・・・

業務代替者を新規雇用した場合、業務代替支援A(新規雇用)50万円

同一職場内メンバーが業務代替し、業務代替手当を支給した場合、務代替支援B(手当支給等)10万円

を申請することができます。

また、上記の「育休取得者」が有期雇用労働者である場合は・・・

それぞれの制度について、更に10万円の加算

を申請することができます。

職場復帰後の支援について助成(令和6年度以降は制度廃止)

育休からの職場復帰日令和6年3月31日までにある場合で、職場復帰後に一定の法を上回る支援を行った場合に・・・

職場復帰後支援(子の看護休暇)30万円+1時間あたり1000円
職場復帰後支援(保育サービス費用補助)30万円+事業主負担額×2/3

のいずれか一方を申請することができます。

なお、この制度は申請対象となる育児休業からの職場復帰日令和6年4月1日以降の場合は申請できません。

育休中等業務代替支援コース

申請対象となる育児休業(産休に続けて取得した場合は産後休業)および育児短時間勤務制度の利用が令和6年1月1日以降に開始された場合は、新設された育休中等業務代替支援コースとして・・・

手当支給等(育児休業)最大125万円(定額5万円+手当支給額×3/4が上限)
新規雇用(育児休業)最大67.5万円
手当支給等(短時間勤務)1年あたり最大36万円(2万円〔初年度分のみ〕+手当支給額×3/4が上限)

を申請することができます。(プラチナくるみん認定事業主の場合は、さらに上乗せの優遇措置が受けられます)

また、上記の「育休取得者」および「育児短時間勤務制度利用者」が有期雇用労働者である場合は・・・

それぞれの制度について、更に10万円の加算

を申請することができます。(ただし業務代替期間が1カ月以上ある場合に限ります

なお、上記の3つの制度の申請数を合算し、各年4月1日~翌3月31日までの1年度において、支給対象となる「育児休業取得者」+「育児短時間勤務制度利用者」数が述べ10人となるまで5年間(*1・2)に渡り申請することができます。

(*1)
初年度の中で、いちばん最初に申請を行った制度において、当該制度が支給申請可能となった日から起算します。
(*2)
プラチナくるみん認定事業主については、年度あたり10人の上限数が免除され、令和11年3月31日までに延べ50人まで申請できます

ちなみに「手当支給等(育児休業)」と「新規雇用(育児休業)」の制度は、同一の「育児休業取得者」を対象として併給申請をすることはできません。(いずれか一方のみ申請することができます)

令和6年1月1日以降新設の育休中等業務代替支援コースについて知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

柔軟な働き方選択制度等支援コース(令和6年度より新設)

令和6年度からは新たに、育児をしながら柔軟に働ける制度を設けた事業主を助成するものとして・・・

柔軟な働き方選択制度等支援コースが新設されました。

この助成金コースを申請するためには、「柔軟な働き方に関する制度」の中から2つ以上の制度を導入した上で、さらに所定の実施要件を満たす必要があります。

「柔軟な働き方に関する制度」を・・・

  • 2つ導入した事業主に対し20万円
  • 3つ以上導入した事業主に対し25万円

が支給されます。(1事業主、1年度あたり5名分まで申請することができます)

柔軟な働き方選択制度等支援コースの支給要件詳細については、以下の記事をご参照下さい。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

この助成金には・・・

男性労働者の「育休取得」について初回申請から3名まで助成対象とするもの(第1種)

および

第1種の助成金を受給した事業主のみを対象とし・・・

男性労働者の「育休取得率向上」もしくは「育休取得率維持」を助成対象とするもの(第2種)

の2種類があります。

なお、上記の第1種助成金には・・・

育休取得実績を情報公表した場合に加算を受けられる制度

があります。

男性労働者の「育児休業」を助成対象とするもの(第1種)

男性労働者が「育休を取得しやすい雇用環境や業務体制の整備」を行う事業主が助成対象で、中小企業のみが申請できます。

子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育休を取得した男性労働者に対し

1事業主1人目のみに限り、20万円が支給されます。

過去に、この助成金コースを受給したことがない事業主のみ、申請できます

なお、令和6年4月1日以降の育休取得者については、2人目・3人目に対しても、10万円が支給されます(ただし、1人目よりも厳しい受給要件が課されます)

また、令和5年12月31日以前に育児休業を開始した場合に限り・・・

上記育休期間中の業務を代替する要員を新たに雇用した場合

さらに・・・

20万円が加算(代替要員を3人以上雇用した場合は45万円が加算)

されます。

なお、この加算制度は、令和6年1月1日以降に育児休業を開始した場合には申請できませんのでご注意下さい。

出生時両立支援コース(第1種)の内容について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

男性労働者の「育休取得率向上」 もしくは「育休取得率維持」 を助成対象とするもの(第2種)

第1種の助成金を受給した事業主のみが申請できます。

ただし、第1種の申請を行った男性労働者の他に、1日以上の育児休業を取得した男性労働者(*)が2名以上いなければなりません。

(*)
雇用保険へ加入している労働者に限ります
第1種を申請した男性労働者が別の子について育児休業を取得した場合も1名としてカウントできます

【①育休取得率向上】

第1種について、1人目の申請した事業年度の「次の年度」から数えた「3事業年度内」において、男性労働者の育休取得率が30%以上上昇した事業主に対し、以下のとおり助成金が支給されます。

1年目の事業年度内30%以上上昇した場合・・・

60万円

2年目の事業年度まで30%以上上昇した場合・・・

40万円

3年目の事業年度まで30%以上上昇した場合・・・

20万円

が、支給されます。

上記に加えて・・・

プラチナくるみん認定事業主(*)に対しては、さらに15万円が加算されます。

(*)第1種(1人目)の育休終了前に認定された場合に限る

なお、事業年度とは、各事業主毎の会計年度(決算年度)のことを指します。(以下同じ)

ちなみに、ある事業年度において・・・

  • 「配偶者が出産した男性労働者」の数が0人である一方で、
  • 「育休を取得した男性労働者」が1人以上いる場合

の「育休取得率」は100%としてカウントします。

【②育休取得率維持】

第1種を申請した事業年度において・・・

配偶者が出産した男性労働者数(*)が5人未満であること

(*)雇用保険へ加入している労働者に限ります

かつ・・・

男性労働者の育休取得率が70%以上であること

の両方を満たしていれば、

第1種を申請した事業年度の「次の年度」から数えた「3事業年度内」において・・・

男性労働者の育休取得率が30%以上上昇していなくても

男性労働者の育休取得率「70%以上の年度」が「2年度以上」連続していれば

20万円

が支給されます。

◇ 両立支援等助成金〔出生時両立支援コース(第2種)〕の詳細説明については割愛させていただきます。

育休取得実績についての情報公表加算

男女別の育休取得実績を所定要件に従って情報公表した場合に・・・

申請候補:情報公表加算2万円(上記いずれかの助成金申請時に1回のみ加算)

を申請することができます。

なお、この加算については・・・

  • 育児休業等支援コース
  • 育休中等業務代替支援コース
  • 出生時両立支援コース
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コース

の各助成金申請時に、それぞれ1回ずつ申請することができます。

「情報公表加算」の詳細については以下の記事をご参照下さい。

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CLASSY. 2024年2月号(12/27発行) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました

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  4. 次世代法及び女性法(*)による一般事業主行動計画の策定支援
  5. 次世代法及び女性法(*)による年度毎の情報公表等支援
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◆「育児休業に関する助成金」について、他にも調べたいことがある方は、以下の記事もご活用下さい!